【2023年5月18日 朝日新聞に掲載されました!】
つづく つながる
くにたちみらいの杜プロジェクト
この絵は二小の卒業生の生徒さんが二小の木を思い描いてくれました!ご厚意によりこのプロジェクトに使わせていただいております。
樹木たちの移植の記録@国立市第二小学校
子どもたちや地域が大事に育んできた二小の樹木のこれからを皆で考えていきませんか
はじめまして!くにたちみらいの杜プロジェクトです。
私たちは2023年4月23日に急遽発足した市民グループです。いま、全国で樹木伐採が起きていますが、東京・国立市でも市内初となる国立第二小学校の改築工事に伴い、校庭にある160本の樹木のうち100本が伐採されることになりました。「なんとか木を救うことはできないのかな?」想いを同じくする保護者をはじめ市民が集まり、プロジェクトを発足、国立市の教育委員会と協定を結び、「大地の再生」の矢野智徳氏(造園家/環境再生医)と樹木の緊急避難(移植)にチャレンジすることになりました。
なお、改築工事や国立市教育委員会との協定提携、また移植の作業などについては、こちらをご覧ください。
Q: どうして樹木の引っ越しをしたの?
二小の改築工事で100本もの木が伐られることになってしまいました。でも「どうにか残せないか」と保護者と市民が、木や大地のお医者さん(環境再生医)の矢野智徳さんに相談。2023年ゴールディンウィーク中に、全国から70人もの職人さんたちが集まって、最初に伐られる予定だった40本を別の場所に移してくれました。
Q: これからの予定は?
2024年4月くらいまでには今の40本の行き先を決めなくてはいけません。工事はこれからも続き、学校に残っている他の木も60本も撤去予定のようです。
Q: 大きな木を伐ってしまうとどうなるの?
地上に枝を張っているのと同じように、木は地下に根を伸ばし、そこは空気と水の通り道。鳥や虫、大きな動物から微生物まで、ほとんどの生きものは、木のそばで暮らしています。中でも大きな木は暑さをやわらげ(都内の大きな公園では地面を6〜7℃も低くしてくれます!)、強い風を防ぎ、大雨の時も大地を安定させて、防災にも大きな役割を果たします。
Q:新しい木を植えたらいいのでは?
大木の力は、植えられたばかりの若い木とは桁違い。若い木が育って同じ力を持つまで数十年かかります。物と違って、自然は簡単にすり替えることができません。人間だってそうですよね。でも「今ある大木を残して若木と一緒に植えてあげることで、若木を支え、大木も元気になる(矢野さん)」。
Q: そうは言っても寿命があるのでは?
木の寿命は、人が植えたものだと。その環境と手入れの仕方次第です。桜の中でも短命と言われるソメイヨシノも、弘前城には100歳を超えるものが300本以上あります。福島の三春滝桜は樹齢千年!二小にはソメイヨシノ以外のもっと長寿の桜や木がたくさんあります。
Q: 古い樹は移植に耐えられるの?
いろんな例があります。
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岐阜県ではダムで沈むはずだった樹齢450年の「荘川桜」を高台に移植。今では樹齢を500年にのばし高さも20メートルになり毎年満開の桜の花を咲かせています。
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日比谷公園の「首かけイチョウ」は樹齢300年の時に今の場所に移植されました。今では樹齢400年以上です。
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海を越えてスペイン・アンダルシア地方から1000キロ離れた香川県小豆島に樹齢1000年のオリーブの木を移植した例もあります。
Q: 移植は安全にできるの?
公共の場に木を植えること(街路樹など)についてのガイドラインがあります。一定の基準を示しつつ、地域や計画の特徴によって決めていくもののようです。今回は小学校ということもあり、皆が安心する形ですすめていこうと思っています。
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🌸二小に残る樹木以外は里親先にすべてお引越ししました!!
全国の里親先に移植され、猛暑の中頑張っていきづいております!
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MESSAGE
メッセージ
森田 真里恵
(共同代表
・二小保護者)
保護者としての思いを少し述べさせていただきます。
奇跡的な樹木の仮移植から、5ヶ月がたちました。
学校の協力もあり、保護者間では水撒き隊が発足し、日々、樹木の様子を観察しながら、限られた時間で、必要な分の水やりをしてきました!。
今年は、酷暑でしたが、仮移植帯に入ると外気の蒸し暑さは感じず、スーっつと心地よい風が通り抜け、あぁやはり私たちは自然からの恩恵を受けながら共生しているんだなと感じられたものです。
仮移植帯には蜂やトンボやセミ、なんとネズミまで現れ、多様な生態系を生み出してくれました。樹木たちは生きようと切られた幹から葉を茂らせ、いのちの力強さを私たちにまざまざと感じさせてくれました。
伐採予定だった樹木が奇跡的に命をつなぎ、校庭に残っていると聞いた時、子どもたちは本当に喜んでくれました。移植の映像を授業で見せてくれた先生もおり、お手紙を書いてくれる子も。私たちはそれが今まで進んできた原動力もあります。
そして今、子どもたちは何を願っているのか。
子どもたちは、生きている木たちが校庭に肩を並べていることを知っており、再び校庭に戻ってくると信じています。
やはりそこを置き去りにしたくはない。
生き残った樹木たちがなんとか生き続けていけるように、みんなで知恵を絞り・手立てを考え続ける姿勢を見せていきたいです。それこそが、子どもたちにとっても環境教育の一助となるのではないでしょうか。
改築後の二小は、地域のコミュニティー施設も担うと言います。
老若男女が様々集う新しい場所で、皆で大事にしてきた樹木のいのちが受け継がれていくこと、皆の思いで子どもたちや地域の未来を作っていけること。まさに、国立市が掲げるソーシャル・インクルージョンの形だと思います。